肝門部胆管癌は、その根治切除例の5年生存率は20-30%であり胆膵領域癌の治療成績は未だ満足すべきものではない。現在の治療法だけによる胆膵領域癌の治療には限界があり、新たな治療法の開発が必要である。われわれはこれまで、Nek2を標的とした分子標的治療の開発を行ってきた。癌は多段階の遺伝子変異により発生し、複数の癌特異的遺伝子の発現により癌の複雑な病態が作り出されると考えられる。Nek2 siRNAの単独投与のような単一遺伝子のみを標的にした分子標的治療には限界があると考えており、効果的な癌治療のためには、Nek2 siRNA分子標的治療と既存の抗癌剤治療、放射線治療を融合させた新たな包括的治療の開発が重要である。本研究の目的はNek2 siRNAを用いた包括的な癌分子標的治療のトランスレーショナルリサーチを行い、早期臨床応用を目指すものである。
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