研究課題
FACSでヒト消化管間質腫瘍培養細胞のside population分画を分離し、その中のCD133(Low/-)が80個でNOD-SCIDマウスに腫瘍を形成できることを確認した。また、ヒト手術標本とSCIDマウス移植標本の免疫組織化学では、ともに、増殖細胞は血管周囲に分布するCD133(+)に多く、低酸素の微小環境にあるCD133(Low/-)はその多くが静止状態にあった。実際、CD133(+)細胞を含む領域とCD133(Low/-)細胞の領域をレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)法で解析すると、CD133(Low/-)細胞の領域ではCD133(+)細胞を多く含む領域に比べて、低酸素で発現誘導される遺伝子群がより多く発現していることを確認した。さらに、CD133(Low/-)細胞から形成されたスフェロイドの成長は、低酸素条件で可逆的に停止することを明らかにした。以上の結果より、消化管間質腫瘍の幹(起源)細胞は、CD133(Low/-)分画の腫瘍内低酸素領域に静止状態で存在し、イマチニブに不応答性である可能性が示唆された。ヒト胸膜悪性中皮腫の切除標本から樹立した肉腫型中皮腫細胞を幹細胞マーカーであるCD133とCD44の発現を指標にしてFACSで分画した後、NOD-SCIDマウスにおける造腫瘍性を比較し、CD133(Low/-),CD44(+)の細胞分画に中皮腫起源細胞が多く含まれる可能性を明らかにした。
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J Biol Chem
巻: 285 ページ: 29842-29850