研究課題
昨年から引き続き、Lin(CD31,CD45,Glycophorin A)陰性かつCD34陽性/CD49f陽性細胞(Lin-/Double Positive Cells ; Lin-/DPC)が幹細胞としてどのような振る舞いをするかをin vivoで検討した。われわれは、「子宮筋幹細胞は妊娠子宮の増大を含むリモデリングに寄与する」、という作業仮説を立てており、その検証のために、重度免疫不全マウスの子宮にLin-/DPCおよび非Lin-/DPCを移植した後、1)無処置、2)卵巣摘出後エストロゲンペレット留置、3)妊娠、の3群に分けて、それぞれのマウス子宮におけるヒト子宮筋構築の程度を調べた。免疫組織化学による検討では、Lin-/DPC移植群において1)<2)<3)の順で子宮平滑筋様の組織構築がみられた。一方、非Lin-/DPCを移植したマウス子宮では1)~3)のいずれにも明らかなヒト組織の構築はみられなかった。より定量的なデータを得るために、マウス組織におけるヒト組織量を定量化する測定システムの開発を行った。種々の検討の結果、ヒトに特異的な内因性レトロウイルス配列を標的にしたリアルタイムPCRを用いることにより、ヒト組織の定量化に成功した。そこで、この測定システムを用いて、上記1)~3)のマウスの子宮において移植されたLin-DPCおよび非Lin-/DPC細胞から生成されるヒト組織の定量化を行ったところ、Lin-/DPC移植群において、それぞれ統計学的な有意な差を持って1)<2)<3)の順で組織量の構築が得られた。一方、非Lin-/DPCを移植したマウス子宮では、1)~3)のいずれでも極めて低レベルのPCRシグナルしか得られなかった。以上より、新しい方法で分離した子宮筋幹細胞様集団は、in vivo妊娠子宮リモデリングに貢献することが示された。
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