研究課題/領域番号 |
20249068
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 壽一 京都大学, 医学研究科, 教授 (90176339)
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研究分担者 |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 講師 (50335270)
平海 晴一 京都大学, 医学研究科, 助教 (10374167)
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 助教 (70378644)
坂本 達則 京都大学, 医学研究科, 助教 (60425626)
小島 憲 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (60378685)
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キーワード | 発生学 / 細胞増殖 / 再生医学 / 転写因子 / 支持細胞 |
研究概要 |
本研究の目的は、器官発生に重要な因子を操作して、今まで不可能といわれてきた内耳有毛細胞(内耳感覚上皮)やラセン神経節、蝸牛側壁の再生を実現し、内耳障害がほとんどを占める感音難聴のあらたな治療方法を確立することである。2009年度は、1.細胞運命の初期化によって生後マウスから作成されたinduced pluripotent stem cells(iPS細胞)を神経に分化するよう誘導した後、生後マウスの内耳に移植して、その動態を検討した。iPS細胞は他の臓器と同様、内耳にも生着し、さらに一部はグルタミン作動性ニューロンに分化していた。聴覚に重要な役割を果たすラセン神経節の再生に、iPS細胞は有用な材料であることが示された。2.もともと肝細胞の増殖因子として知られていた肝細胞増殖因子(HGF)は、さまざまな発生過程で重要な役割を果たしていると報告されている。本年度の本研究では、HGFがアミノグリコシドによる有毛細胞の障害を予防することを蝸牛の器官培養で示し、また音響外傷による感音難聴にたいして予防効果があることを動物モデルを用いてIn vivoで示した。HGFは内耳障害に対して有用な物質であることが示唆された。3.生理活性物質であるプロスタグランジンEの受容体(EP)は4種類存在するが、そのうちのEP4に対する特異的なアゴニストにより音響外傷が軽減できることを昨年報告したが、本年度はEP4のシグナルの下流でVEGFが作用していることを発見した。EP4を用いた再生医療を効果的に行うための知見であると考えられる。
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