研究課題
本研究の目的は、器官発生に重要な因子を操作し、不可能といわれる内耳有毛細胞(内耳感覚上皮)やラセン神経節、蝸牛側壁の再生を実現し、内耳障害のあらたな治療方法を確立することである。2010年度は、1.内耳発生に重要とされるノッチシグナルの完全な遮断を行ったマウスの内耳発生を観察し、ノッチシグナルの内耳発生における役割をより明らかにした。本研究によってノッチシグナルは従来言われていたように内耳感覚上皮の始原細胞形成を促すのではなく、維持するために使われることがわかった。この知見により、内耳感覚上皮再生の際には、ノッチシグナルは再生の際に作り出す感覚上皮始原細胞の維持に利用できると考えられた。以上の成果は2010年11月の第6回国際メニエール病学会で発表し、Developmental Biology誌に投稿し受理された。2.生後の哺乳類蝸牛上での感覚上皮を促すためには、生後失われると考えられる感覚上皮幹細胞を誘導することが必要である。近年、決められた遺伝子を発現させることにより細胞の再プログラミングを行い幹細胞(iPS細胞)を生み出す手法が開発されたが、この遺伝子の組み合わせを蝸牛上で強制発現させ、より未分化な細胞が蝸牛内に生み出されるかを検討した。その結果、未分化感覚上皮のマーカーのであるProx1陽性細胞が誘導されることを発見した。今後はさらに分化を進め、感覚上皮を生み出す手法の確立を目指す。この結果は2011年の第34回ARO midwinter meetingで発表した。3.感覚上皮の再生だけでなく、他の蝸牛内の領域、特に側壁も蝸牛の機能に重要な役割を果たす。これらの再生手法を確立するために、いまだマーカー分子の情報が不足している蝸牛側壁の遺伝子発現プロファイルを網羅的に行うために、生後マウス蝸牛の側壁を材料に網羅的遺伝子解析を行い、これまで未解析の遺伝子を同定した。
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