研究課題
Tannerella forsythiaはP.gingivalisと同じく重要な歯周病細菌であり、Treponema denticolaを加えて最もビルレンスレベルの高いRed Complexを形成している。T.forsythiaは遺伝学的手法がある程度確立している細菌であり、部位特異的変異導入が可能である。T.forsythiaはPor分泌機構(PorSS)関連遺伝子のすべてを有しており、PorSSを有することが示唆される。そこで表1に記載したすべての遺伝子についてそれらの変異株を作製する。PorSS関連遺伝子変異株について培養上清および膜画分についてタンパク質の二次元ゲル電気泳動法による解析を行う。すでにいくつかの変異株を分離している。分離したスポットについて質量分析にてタンパク質の同定を行った。複数のタンパク質スポットにおいて野生株とは異なった、すなわち分子量あるいは等電点が異なった位置に位置するタンパク質を発見している。そのなかにはT.forsythiaの菌体表層にあるS layerを構成するタンパク質(TfsAとTfsB)があった。この2つはともにC-terminal domain (CTD)を有するタンパク質であり、本菌の病原性に関与する。この結果はT.forsythiaにおいてもPorSSが機能しており、重要な病原タンパク質の分泌を行っていることを示唆する(2010年度歯科基礎医学会学術大会P-216にて発表)。Prevotella intermediaは中等度歯周病原性を示す細菌に位置付けられる。本菌にも表1に示す通り、PorSSの存在が強く示唆される。P.intermediaはいまだ遺伝学的手法が確立されていなかったが、最近、当研究室にて約30株の臨床分離株を調べたところ、変異導入可能な株を1株発見している。この株でのPorSS関連遺伝子変異株の作製を今後試みる予定である。
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