本研究目的は、口腔粘膜および歯髄における免疫応答の特性を明らかにするために、口腔に存在する樹状細胞(DC)の機能的特性と免疫制御メカニズムを解明し、樹状細胞を標的とした新規局所免疫制御法開発に向けた基礎的な検討を行うことでる。 サブテーマ1の口腔粘膜樹状細胞の機能解析では、マウス口腔粘膜にハプテン塗布後、所属リンパ節に遊走したDCを解析し、CD207とCD11c発現レベルから遊走ランゲンハンス細胞、粘膜下レジデントDC、刺激後に粘膜にリクルートしてきたDCの3亜群に分類できることを見いだし論文発表した。また、各亜群の詳細な細胞表面機能分子発現を解析するとともに、mRNA発現解析のためのDCの分離技術をほぼ確立したので、定量PCRでの解析を進めていく予定である。また、抗原特異的な応答をみるための、Alexa488標識OVAペプチドを使用して、OT-1およびDO11.10トランスジェニックマウスでの実験を進めるための予備検討も行った。 サブテーマ2の歯髄DCの機能解析では、上記テーマ1の結果をもとに、遊走歯髄DCを同定するための予備検討を行い、CD86高発現DCを遊走歯髄DCを含む分画として検討を行っている、また。歯髄センチネルDCは、CD207発現を欠いていることを組織染色レベルで確認した。 サブテーマ3の樹状細胞を標的としたRNA干渉による免疫制御法開発では、効果的にサイレンスできるヒトCD86 siRNAシークエンスを開発すると共に、マウスモデルにおける皮膚塗布によるsiRNA浸透とDCの取り込みメカニズムについて検討し、最適条件を見いだすことができた。また、より安定性が高いと言われているDNAキメラsiRNAの使用の可能性についても検討したが、本法においては既に使用しているCD86 siRNAの効果を上回る結果は得られなかった。
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