研究課題/領域番号 |
20249079
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
|
研究分担者 |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50301891)
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任准教授 (40399952)
北村 哲也 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00451451)
松本 健一 島根大学, 総合科学研究支援センター, 教授 (30202328)
|
キーワード | 口腔がん / cancer stem cell / 上皮間葉移行 / がんの微小環境 |
研究概要 |
我々は、がんの「間質」に存在する腫瘍血管内皮細胞が正常血管内皮細胞とは異なった遺伝子背景をもつことを明らかにしてきた。近年、上皮間葉移行ががん細胞の浸潤・転移に重要な役割を果たしていることが明らかになり、上皮性の口腔扁平上皮がん細胞と間葉系細胞との相互作用を検索することにより、がん細胞のみならず、腫瘍への栄養・酸素供給を介して腫瘍の生存や増殖に関わっている間質細胞もターゲットにした、より効率的な新たな治療法を開発できるものと考えられる。Cancer stem cellは抗がん剤に対して抵抗性を示すことが報告されている。口腔がん細胞株HSC3にシスプラチン高濃度短時間処理を行い、シスプラチン抵抗株(HSC3res)を分離した。HSC3とHSC3resを用いたDNAマイクロアレイを行い、発現に差のみられる遺伝子を同定し、上記遺伝子の発現をreal-time RT-PCRおよびWestern blotで検索するとともに、実際の口腔がん組織での発現について免疫染色を行い検討した。その結果、抗がん剤に感受性の低かった腫瘍にその発現が認められ、同定した遺伝子/遺伝子産物の治療における有用性が示唆された。さらに、AU-richelement(ARE)mRNAの安定性に関与するHuRタンパクが、口腔がんの発症・進展に関与していることが明らかになり、口腔がんstem cellで、HuRががん化を誘導している可能性が生じてきた。HuRは、がん微小環境においても、がん間質に存在する腫瘍血管で発現亢進し、ARE mRNAであるVEGFやCox2の発現を誘導していることが明らかになった。また、HuRをノックダウンすることで、がんの悪性度が減少することも明らかになり、HuRを分子標的とした治療法の可能性が示唆された。さらに、口腔環境で産生されているRANCLは特異的に口腔がんのstem cellに作用し、上皮間葉移行を生じさせることを明らかにした。
|