研究課題
基盤研究(A)
本研究はシンドビスウイルス成分を搭載した腫瘍特異的吸着リポソームを用いて癌細胞を色素標識して明示化し、生体内での追跡実験や手術のナビゲーション・システムを開発することを目的とする。ウイルス蛋白の融合許容性と、経時的・物理的安定性を持つリポソーム(Liposome NS)を調整し、超遠心濃度勾配濃縮法で精製した腫瘍特異的吸着能リガンド成分を加えて、シンドビスハイブリッドリポソーム(SIN Liposome NS)を作成した。電子顕微鏡でリポソーム表面へのリガンド成分の融合を確認した。マーカーとして、リポソーム内水層への標識にGFP蛋白、rhodamin蛋白、FITC-dextranを、リポソーム脂質内への標識にFITC脂質、rhodamine脂質を検討した。結果、吸着と蛍光評価には0.5mMrhodamin蛋白溶液が、内包標識には5mMFITC-dextran溶液が、脂質標識にはFITC脂質またはrhodamine脂質が有効であった。内水層への蛍光標識より脂質への標識の方が感度は高く、蛍光特異性はFITC-dextranが高かった。以上から、FITC-dextran、rhodamin脂質標識したLiposome NSと、ウイルス成分をさらに加えたSIN Liposome NSを用いて以下の実験を行った。SIN Liposome NSを各種癌細胞株と正常細胞へ添加培養したところ、癌細胞株に特異的に吸着・蛍光した。さらに脂質濃度を工夫し、フローサイトメトリーで吸着能を各種癌細胞で135%から200%の範囲に向上させた。次に、担癌マウスの頸静脈投与法でリポソーム溶液50μl(脂質濃度0.2mg/マウス)から投与開始し、リポソーム溶液100μlが副作用の見られない最大量であることを見出した。さらに、IVIS Lumina(Caliper)を用い、担癌ヌードマスで色素の検出感度の差、体内分布、検出可能時間を検討した結果、色素はTexasRedが最も効率的に検出され、腫瘍、肝臓、手足関節部に集積し、投与後30分から1時間での計測においてS/N比が高かった。
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