研究課題/領域番号 |
20249081
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 照子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00127250)
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研究分担者 |
高橋 一郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (70241643)
出口 徹 東北大学, 病院, 講師 (30346457)
竹下 信郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50431515)
川木 晴美 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (70513670)
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キーワード | メカニカルストレス / 骨芽細胞 / 単一骨細胞 / 細胞間ネットワーク / ギャップジャンクション / タイムラプス |
研究概要 |
本研究は骨細胞分化の制御および骨細胞を用いた骨再生医療への応用を目的としており、本年度はメカニカルストレス応答の作用点として単一骨細胞に着目して分化段階の相違による弾性の変化、PTHなどの骨関連ホルモンの代謝機能への関与、さらに骨細胞間のギャップジャンクションを介する細胞間コミュニケーションについて検討した。さらに来年度以降に計画している実験の準備として、メカニカルストレス負荷後の生きた単一骨細胞を明視野だけでなく、細胞小器官を蛍光標識してタイムラプス観察可能とするための遺伝子導入実験をおこなった。 その結果、分化段階の異なる骨芽細胞と骨細胞を用いた検討では、高度に分化した骨細胞においては細胞辺縁部の弾性率が低い傾向にある一方で、骨芽細胞ではみられた、接着阻害ペプチドによる弾性率の低下と接着領域の減少が骨細胞ではみられず、細胞の機械的特性が細胞接着に関与していることを見出した。さらに、生骨骨片を用い、Fluorescence Replacement After Photobleaching(FRAP)法により、ギャップジャンクション阻害薬の添加と、細胞外pHの低下、細胞外Ca^<2+>濃度の上昇が蛍光回復を阻害し、PTHが濃度依存的に蛍光回復を増強することを見出し、これらの因子が骨細胞間のギャップジャンクションを介したコミュニケーションを調節することを見出した。さらに、遺伝子導入実験ではGFPまたはRFP融合の細胞小器官特異的タンパク質を強制発現させ、分離培養したニワトリ胚ならびにマウス胎仔由来の初代培養細胞で核やミトコンドリア、細胞骨格等の細胞小器官を蛍光顕微鏡下で可視化し来年度以降の実験の準備として十分な成果を得た。 本研究の成果により、メカニカルストレスによる骨細胞分化制御が可能となれば、骨細胞の生理作用を利用した歯の移動制御や骨再生医療に貢献ができるものと考えられる。
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