研究概要 |
本研究は、看護系大学と臨床が連携し、近年の小児科医療の不足や小児医療の課題となっている現象に対し、現小児看護専門看護師(Certified Nurse Specialist,以下CNS)の役割や職責を現法の中で広げ、独立した高度実践看護師クリニック(仮)を現医療体制に位置づけ、効果を検証することである。 本年度は以下の点を実施した。クリニック開設・運営の実施:今年度遠隔会議を5回、メンバーが集まる班会議を数回開催し、独立した高度実践看護師クリニックの開設および研究として取り組むための研究計画書の作成およびアンケート調査の検討を行った。各CNSおよび研究班は研究計画書を作成し、研究倫理委員会へ申請、承認を得た。また、アンケートによるデータ収集の実施について検討し、アンケートの作成および研究倫理委員会の承認を得た上で、フィルメーカーを用い、それぞれの大学でアンケートを集約するフォーマットを作成した。各CNSが看護外来の開設に必要な物品を整え、外来開設・運営・研究のデータ収集を開始した。しかし、人事など施設の状況等により開設が遅れている現状もあり、今後もICT環境などを活用し、開設・運営に向けての整備、研究データ収集への働きかけを行って行く。高度実践看護師クリニックにおける実践能力の向上:昨年度、高度実践看護師として強化が必要であると考えられ、各CNSが実践の場で苦手であると感じるアセスメント項目について抽出を行い、9月にAPN研修を実施した。研修では昨年来日いただいた、APN教育に精通した外国人講師(カリフォルニア大学サンフランシスコ校Karen G.Duderstadt, PhD, RN, PNP)を招聘し、実際にアメリカで行われている内容を2週間のプログラムとして改変し、フィジカルアセスメントの講義・演習を中心とした研修会を実施した。研修には多くのCNSが参加し、関心と必要性の高さが伺えた。また、実際に検眼鏡など器具を用いた検査や問診などのスキルを習得する中で、包括的にこどもを見る視点に繋がる点で看護師がフィジカルアセスメントを確実に行って行く事の意味を再確認していた。また、実際に異常音の聴取をトレーニングしたいや、実際のこども(モデル)へどのように接近し、協力を得るかなどのスキルを実際に学びたいなど、今回の講義演習を基に、実践的スキルとして取得するプログラムの要望もCNSより多く寄せられた。今回の研修は、高度実践看護師としてのCNSのスキルアップの一助を成すものであり、研修の効果を確認することが出来た。
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