研究概要 |
23年度は補足的な調査と並行してそれぞれの成果発表を実施した。調査対象域は南スラウェシ州のスペルモンデ諸島に集中した。以下の二つのグループによって調査を実施している。 1)自然の分類・記載のグループ:山根(鹿児島大学、昆虫分類)、海の動植物相の把握は鯵坂(京都大学、藻類分類)が地元のハサヌディン大学の若手研究者とそれぞれの分野でスペルモンデ諸島および南スラウェシ州バル県の森林地帯で行っている。山根はバル県の森林でアリ(狩アリ)の新種を発見し、改めてウォーレス線以東のスラウェシのリサーチポテンシャルの高さを証明している。鯵坂はスペルモンデ諸島の藻類の概要把握を実施し、スペルモンデ諸島の藻類リストを完成させている。また、関連する実物標本を作製し、ハサヌディン大学のダダン教授が管理する調査センターに保管する一方、日本に持ち帰っている。これらの作業は、各分担者が専門分野の手法によって、ハサヌディン大学調査センターの若手研究者と共同で実施されている。実物標本の継続的な管理に関しては、各専門分野による助言、支援が実施された。 2)人の営みの記載のグループ:自然を利用する人々の営みに関しては、長津(東洋大学、文化人類学)、遅沢(愛媛大学、木造船づくり)、Atus(研究協力者、愛媛大学、船材樹種)が、それぞれの専門からの記載を行っている。 これらの成果は、京都大学東南アジア研究センター主催の第7回国際ホーラム"Politics, Livelihood and Local Praxis in the Era of Decentralization in Indonesia",8-9 January 2011 Makassar, HasanuddinUniversityの一つのセッションで発表された。これらはスラウェシでの自然誌作成の意義を広く広報することになり、大きな評価を得た。
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