研究課題/領域番号 |
20252001
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
古澤 賢治 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (80181452)
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研究分担者 |
周 星 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00329591)
鈴木 規夫 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (70271468)
高橋 五郎 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (50269130)
藤田 佳久 愛知大学, 文学部, 教授 (70068823)
李 春利 愛知大学, 経済学部, 教授 (20301624)
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キーワード | 地域研究 / 現代中国学 / 中国西北地域 / 民族間矛盾 / 環境・水 / 貧困・福祉 / 民俗・文化 / 日中共同研究 |
研究概要 |
本研究は2000年頃から始まった中国西部大開発の進捗状況をみながら、主に西北地域をフィールドに、当該地区社会科学院や大学等との共同研究により、少数民族と漢族間の融合、農村地区貧困の解決、地域経済の内的発展と産業振興、開発に伴う地域伝統文化の変容の実態、経済発展とともに深刻化する環境破壊の抑止策等を研究した。その際、現代中国学の方法的創成を基軸とする中国の国内研究のあり方を模索しつつ、我々が開発しつつある「共同態度論」の実践的検証に取組んだ。 こうした方法は未完成の段階にあるが、日中共同研究を通じて、西部大開発の成功と問題点を明瞭にすることができた。「共同態度論」は日中共同研究者が共通の問題意識により、民族性や国民性あるいは国家を超えたところで現代中国の諸問題の解明と課題解決のあり方を模索する方法であるが、この方法の実践的発展を図りつつ、西部大開発の成果として、様々な領域のなかで経済発展の圧倒的大きさとその成果が地域住民の収入拡大に繋がっていることが確認された。一方、格差拡大が止まず、収入を支出が上回る農民の比率が上昇、当該地区からの人口移動が伝統文化の伝承危機、民族間矛盾の拡大、環境破壊の進展を誘発したことが明らかになった。今後の研究課題としては、西部大開発が地域住民の人間的な発展の有無や人間的な側面に視点を当てることの重要性が明らかになった。中国が経済発展という手段的発展から、人間の内的発展へという目的的発展に転化しうる可能性と筋道を研究する必要がある。共同態度論の実践的発展という面では、中国の現代的危機の国際的な学問的共有を構築する手掛かりが得られた。
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