研究課題/領域番号 |
20252002
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
唐 亮 法政大学, 法学部, 教授 (10257743)
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研究分担者 |
木村 幹 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (50253290)
松里 公孝 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (20240640)
加茂 具樹 慶應義塾大学, 総合政策学部, 准教授 (30365499)
石塚 迅 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (00434233)
稲垣 文昭 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 講師 (80468545)
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キーワード | 民主化への体制移行 / 民主政の成熟 / 移行のコスト / 初期条件 / 移行論の研究系譜 / 移行協定 / 移行の力学 / 移行戦略 |
研究概要 |
平成20年度は計3回の研究会を行い、研究目的の共有、研究活動の計画、各分担者の役割分担を協議するほか、専門家をゲスト講師に招き、移行協定の研究を中心に民主化研究に関する研究助言を得た。各分担者はそれぞれの役割分担から各自の研究構想を取り纏め、初歩的な研究を行うほか、各研究班を中心に共同作業に関する非公式な研究打ち合わせを重ねてきた。一部の分担者は現地調査を実施し、資料・データの収集・解析に取り組んだ。共同研究作業によって、次のような点で共通の認識が得られた。1)既存の体制移行論を「移行の力学」・「移行戦略」に関する研究と「移行の初期条件」「民主化の環境」に関する研究の2つの系譜に分けられる。前者の研究は民主化の運動に着目し、権力内外でどの勢力が主導権を握り、軍部はどう動くか、体制内外め政治的な連携がどのように行われるか、妥協=移行協定は成立するか否かを解明しようとするものである。後者は民主化運動、民主化の定着がいかなる条件・環境で行われているかに着目し、「初期条件」が民主化の成功、体制移行のコスト、民主政の定着・成熟にどのような影響を与えるかを解明しようとするものである。2)初期条件に関する既存の研究は[経済発展」、「社会構造」、「文化・政治意識」および「制度」の4つに分けちれているが、体制移行を何もかもの民主化、民主化の軟着陸、民主政の「質」に着目し、問題の設定をいっそう具体化・明確化することによって、本研究は体制移行の「初期条件」「環境」に関する研究を深めようとするものである。3)初期条件が移行のコスト・民主政の成熟に影響を与えるメカニズムとして、社会的な亀裂に注目することが極めて重要である。亀裂が大きければ、体制側は民主化に抵抗する可能性が高く、反体制側は急進化の可能性が高い。この仮説に立って、発展段階別に移行期と定着期における中産階級の意識、立場、役割を検証すべきである。
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