日韓・日中関係に似て、ドイツとポーランドは「過去」をめぐり対立してきた。だが今日、両国関係は非常に良好で、それはエリートや制度のレベルだけでなく、市民の態度からも伺える。こうした政治的雰囲気の好転は、ポーランドのEU加盟に起因する。旧ドイツ領シュレージエン地方に存在するドイツ系少数民族は、EU域内の「フレキシブル・アイデンティティ」効果で、独自のアイデンティティを発展させている。このように、二国間の歴史問題を解決し、相互信頼関係を築くには、国民国家次元を越えた何らかの装置が必要で、日本にもそれを創出する真剣な努力が求められている。
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