研究課題/領域番号 |
20252008
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
宮島 喬 法政大学, 社会学研究科, 教授 (60011300)
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研究分担者 |
中野 裕二 駒澤大学, 法学部, 教授 (10253387)
若松 邦弘 東京外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90302835)
森 千香子 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10410755)
荒又 美陽 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 助教 (60409810)
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キーワード | フランス / 移民 / パリ / 都市問題 / 都市再開発 / 住宅問題 |
研究概要 |
本年度は、パリを中心としたフランスの都市における移民の居住問題、および彼らの社会政冶行動、その社会関係と差別について、現地で調査研究を行った。そこでえられた知見は次のとおりである。 1.都市のインナーシティでは住宅の再開発の進められている所が多く、パリの都心部のシャトールージュが代表的であるが、そこに居住する主にアフリカ系の移民は、再建後の住宅に必すしもスムーズに入居できす、家族員数との関係で狭い不利な入居を受け入れなければならないケースもある。 2.不法滞在移民で旧住宅に住んでいた者が、改築された新居住への入居を拒まれることは一般的である。その意味で、都市再開発、建て替えは、移民居住者たちの身元改めの機会ともなっていることが判明した。「不法」が判明した移民がただちに当局から摘発されることは少ないが、より劣悪な住宅(占拠された空き家など)に移らざるをえない事態が起こっている。 3.住宅の改築にあたっては「不衛生性」(insalubrite)という基準が重視されているが、その内容にかなりの恣意性があることも判明し、多人数居住など移民たちの退去を促すためとみられる基準の適用もあるようである。 4.パリ市の郊外のオーベルヴィリエ市では、主にマグレブ系移民の若者の政治意識について聞き取り(インタビュー)を行い、2005年の「郊外の暴動」以来、彼らの政治的権利の行使の意欲は高まり、選挙時の有権者登録も活発に行われていることが分かった。しかし一部の若者には、長年の不平等な処遇への諦めからか、アパシーの傾向もみられた。
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