研究概要 |
平成22年度は「都市化による周辺地区を含めて住空間の形成過程」「供給された住宅団地の空間計画の変遷」「環境共生の建築工法」、及び「室外熱環境とエネルギーの消費」「居住者の生活行動」の5分野に対して、前年までの調査の解析と成果の公表おこなった。これらの成果は膨大なもので、中間報告書として纏め2月23日に岡山理科大学で報告会を開催した。前年度までの成果を、蘇南都市近郊地区における環境共生集合住宅の計画技術の開発に繰り込むために、まず、「都市化による都市の拡大過程と住空間の形成過程」(担当:宗本、吉田;中国側、東南大学:王建国教授、合肥工業大学:蘇継会教授)では、中国の南京市,合肥市で起こっている都市化のメカニズムは、80年代までは工業地域の建設、95年以降は地方政府の行政機関が、それぞれ積極的に住宅地や業務地を開発し、入札によって用地を供給している実体を明らかにした。次に、「供給された住宅団地の空間計画の変遷」(担当:宗本、吉田;中国側、東南大学:唐準教授、合肥工業大学:周教授)では、初期に供給された集合住宅の平面・規模、内装計画、外観デザイン、団地計画等から90年以前、2000年,近年に計画方法が変化していることを捉えた。「環境共生の建築工法」(担当:宗本、吉田;中国側、東南大学:張教授、合肥工業大学:蘇継会教授)では、この地域の特性に適応する建築材料、蘇南に適応する建築形式や工法変遷と実験住宅で新しい農民住宅の工業化工法を実践した。「室外熱環境とエネルギー消費の調査」担当:鉾井:中国側、東南大学:傅秀章教授)では、室外温熱環境の改善に関する技術の研究、集合住宅地の冷暖房、炊事、入浴等のエネルギー消費の実態をまとめた。「居住者の生活行動」(担当:吉田;中国側、合肥工業大学:李早教授)では、中国では戸籍によって「都市の居民」と「農民」を区分しているが、都市に吸収された蘇州市の農民の地区の変容を調査した。中国側では3年間の累計、東南大学8編、合肥工業大学18編の論文を発表した。両大学では、10名以上の修士課程の学生が、共同研究に参加して修士論文にまとめるなど、若手に研究のすそ野が拡がった。
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