研究概要 |
本研究は2006年5月27日に起こった地震で被災したインドネシア共和国ジャワ島中部の世界遺産プランバナン遺跡時群とその周辺にある石造,レンガ造による組積造建造物遺産の破損のメカニズムと修復計画策定手法の開発を行うことを目的にしている。調査は(1)被害程度の正確な同定、(2)地震による破壊メカニズムの詳細解明、(3)過去の修復手法・技術および地震に関する情報収集、(4)被災した文化遺産に関する社会経済的考究、の4点について進めていくものである。 調査はインドネシア政府文化観光省考古局および考古局遺産保存事務所の協力を得て進められ,ジョグジャカルタ市にあるガジャマダ大学と連携もとりながら行われた。初年度である2008年度には計3回の調査を行い,次のことを実施した。 ・地震による破壊メカニズムの詳細解明についてシバ祠堂に亀裂変位モニタリング装置を設置し観測を開始した。音湿度計を祠堂内外に設置し、自然条件のデータの測定を開始した。また計測データと比較するためにジョグジャカルタ市にある国立火山観測所から地震データを収集した。 ・過去の修復手法・技術および地震に関する情報収集についてジョグジャカルタ市にある遺産保存事務所およびジャカルタにある歴史考古局において古写真アーカイブの調査を行った。 ・被災した文化遺産に関する社会経済的考究プランバナン遺跡公園観光会社およびジョグジャカルタ市観光局においてインタビューを行い,被災後の復興状況のヒアリングを行った。またガジャマダ大学教員に遺跡公園周辺の住民運動についてインタビューを行った。
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