研究課題
インドシナ半島からブータン、およびバングラデシュで調査を行い、マカクの進化地理学を明らかにしつつある。西アッサムモンキー(Macaca assamensis pelops)の地域個体群調査(ブータン)を行い、タワンモンキー(M.munzala)や東アッサムモンキー(M.a.assamensis)と合わせて系統分析を行い、前2者が同一クラスターをなし、タワンモンキーに固有性は認められないこと、地域個体群は河川系の影響を蒙っていることを見出した。同種とヒトとの利害対立について、生息態実態と宗教・伝統文化的側面の調査を行った。東アッサムモンキー(タイ北部)の社会行動の定量的調査で、グルーミング頻度等に特徴が見出された。ベニガオザル(M.arctoides)の系統地理学解析によって、1)南ベトナムと南ラオス(アタピュー県)および2)<ラオス北部、中国南部、タイ、ミャンマー>2つの主要クラスターが得られた。オス・メスペアの交尾行動は一日に限られ(少なくとも16回の射精を伴う、タイで調査)、前日にも翌日にも見られない。アカゲザル(M.mulatta)の調査資料(バングラデシュ)と他地域のデータとあわせ、系統解析した結果、1)バングラデシュ・ミャンマー、2)インド各地、3)中国、の三主要クラスターがあり、1)クラスターの多様性が高いことが解った。ベトナム中部で分布・生息実態調査を行い、TTフエ省のフォンディエン保護区で、これまでの記録で最も高緯度分布のカニクイザル(M.fascicularis)と中部ベトナムにいないとされていたアッサムモンキーを発見した。ラオスで分布・生息実態調査し、北東地域は戦争と農耕により森林が消滅し、霊長類の生息困難地域となっていること、南部地域でセカマン河(メコン河の支流のセコン河の支流)の川沿いに、カニクイザルの分布を見出した。同種は、セコン河に沿ってベトナムのアルイ地区にまで連続分布している可能性がある。ミャンマーでは、最も南のタインンサリー管区で、分布・生息実態を、タイでは、交雑に関する調査を行った。
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