研究課題
計画の最終年度にあたって、おさえの調査を行い、データ解析を行った。マカクはアジアで放散し複数種が、コロブス類や類人猿の真猿類と共存する。スマトラ北部およびラオスでの調査から、複数種マカクが2種以上の非マカク真猿類と共存するパターンを見出した。東南アジア大陸部に生息するマカク種は、いずれも広域分布種であることから、生態学的共存メカニズムと種の維持メカニズムをもつと考えられる。共存メカニズムは、食性・地理的条件・植生条件による差別化、地上性と樹上性、さらに社会性の違いによる棲み分けが考えられ、本研究で、ベニガオザルが典型的にそれを示し、発達した地上性(前肢を回旋させるのでなく、肩甲骨を含めて前肢を大きく回旋して、大きい歩幅を獲得)、独特の交尾行動(排卵日に頻繁に交尾し、メスをガードする)が明らかにされた。交尾前生殖的隔離メカニズムであるオス・メス間行動は、アッサムモンキー、キタブタオザル、アカゲザルのような樹上性で、分布域を広くオーバーラップさせるマカクで、種特異性を発達させている。オスの分散とメスの居留性という集団構造を持つマカクでは、特に広域分布種では、オスの分散性が種の表現型的特徴を維持している。一方で、mtDNA塩基配列解析から、アカゲザルでは(ネパール・インド)、(バングラデシュ・ミャンマー)、(インドシナ)、(中国)の明確な地域クラスターが見出された。インドシナのアカゲザルは、側所性分布のカニクイザルとの間に、現在、コンタクト・ゾーン付近での遺伝子交換を、過去にもさまざまな規模での遺伝子交換を行っている。キタブタオザルとミナミブタオザルの間にも、mtDNA配列解析から、スマトラとマレー半島のミナミブタオザルは、同種のボルネオ集団よりも、キタブタオザルに近く、遺伝子浸透による地域特異性が見出された。これらの事実に基づき、マカクにおける種の外延を探る。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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