研究課題
日本人の起源問題に関して重要懸案となっている渡来系弥生人、及び縄文人の源郷問題の解決を目的として、以下の大陸各地や日本において現地調査を実施すると共に、最終年度としてその分析結果についてのシンポジウム開催、学会発表などを行った。1.東アジア北域の先史住民に関する資料充実のため、2011年8月下旬からほぼ1ヶ月にわたりモンゴル・アウラガ遺跡・タマシャクブラク遺跡・バルーンウルジット遺跡・ズーンウルジット遺跡発掘調査および整理作業を実施した。その結果、モンゴル東部での発掘調査による初めての出土例として青銅器時代の墳墓1基から、女性人骨に伴って首飾りなど豊富な副葬品が出土したことが確認された。2.日本列島南部の先史人骨に見られる変形頭蓋に関する資料収集のため、9月中旬にフランス・人類博物館所蔵の変形頭蓋資料の調査をおこなった。その結界、人工的な変形に伴う縫合線(頭骨の接合線)の変化などが明らかに成り、日本の事例(種子島広田弥生人など)のあ解釈に有益な知見が得られた。3.9月下旬に、中国東北地区の人骨資料収集を目的として、中国吉林大学所蔵の青銅器時代人骨の調査を実施した。4.水撤化の日本への渡経路として注目されている中国・山東半島南部の新石器時代(北辛遺跡:大文口文化期)人骨の調査結果について、日本側研究分担者5名に加え、中国側から3名の研究者を招聘してシンポジウムを実施した(平成23年11月19日)。その結果、当該時期の埋葬墓から中国で始めて火葬の存在が明らかにされたことや、特殊な再葬行為の詳しい状況が明らかにされるなどの成果が得られた、人骨の形態的特徴についても、後世の水稲耕作民とは異なることが確認され、大文口文化期以降に時代変化が起きた可能性が明らかになった。また、これらの成果を取り纏めて2012年中に中国で論文集を出版する運びとなり、2012年8月末までに中国語に翻訳した論文を山東大学に提出する等、具体的な計画を協議して目下その作業を進めているところである。5.南方ルート解明に必須の先島諸島の先史人骨発見を目的として、2012年2月に波照間島で発掘調査を実施した。その結果、中世期の小児人骨が出土し、当地の地層解釈に有益な知見が得られた。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (11件) 図書 (9件) 備考 (1件)
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