本年度の研究では、まず5月7日に日本側の共同研究者である、連携研究者、研究協力者が全員集まり全体会議を実施するとともに、その後、それぞれのグル-プでの個別の会議を数回にわたって実施した。交付申請でも述べたとおり、科研出張に加えて、ナミビア国で実施される別プロジェクト出張時に、両者を仕分けし、一部日程を本研究活動に充てて研究代表、連携研究者、研究協力者によるナミビア国における活動を継続した。とくに、これまでの稲作導入を主導した、Teofilus Lwinga(ナミビア大学技官)ならびに、Simon AWALA(ナミビア大学農学部講師)との打ち合わせを綿密に行い、稲作導入のために必要な研究活動を支援しつつ、5ヵ年の共同研究の成果をとりまとめた。ボ-エン比法システムを設置した季節河川におけるイネ圃場と自然植生圃場、さらに畑地圃場の3か所において引き続き蒸発散量測定を継続した。稲栽培に関してはイネの品種選抜試験や品種の更新を継続した。これまでに計測した各圃場における蒸発散量を解析した結果、イネ圃場や自然植生圃場における年間蒸発散量は、当地の年間降水量に匹敵する量であったこと、さらに、そのような環境下でイネを栽培した場合、雨季には蒸発散量が自然植生圃場に比べ微増し乾季には微減することが分かった。すなわち、年間蒸発散量としては両圃場において顕著な差はみられず、水収支に対する稲作導入の影響は小さいと考えられ、稲の栽培可能面積は季節河川の大きな割合を占めることが推測された。最終年度の雨期作に関しては、2012年12月から翌年1月始めにかけて激しい降雨が続き、湿潤熱帯と見まがうほどの多湿の環境が一時的にみられたが、その後、一滴の雨も降らないという干ばつ年特有の現象がみられた。したがって今後も、継続して基礎研究としての稲作導入をナミビア側研究者とともに共同で実施していく必要性を認めた。
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