研究概要 |
今世紀の農作物生産は水資源の枯渇との戦いであり,水環境と調和した新しい作物栽培技術の確立なくして人類の食糧資源の安定供給は望めない.我々は,アフリカの半乾燥地におけるそのモデルケースとして,ナミビア国の季節性湿地帯での試みを広く世界に発信する.すなわち,これまで作物生産に利用されてこなかった湿地帯に着目し,その水環境を改変することなく,新規産業としての環境保全型粗放稲作を導入することを目的とする.農業資材の投入を極限に抑え,灌漑設備を持たない,あるがままの水環境であっても,経済的な粗放稲作が成立し得るという仮説を実証する.これまでの知見と活動を基盤として,本研究では,季節性湿地帯に開設したモデル水田の水環境を水文学的視点から精査し,水資源を枯渇させない水田開発を提言するとともに,湿地帯を代表する様々な水環境に適合したイネ品種群を提案し,さらに当地の貧農との協議の下でトウジンビエ栽培と融合するイネ栽培体系を村落開発の視点から構築することを目指す.
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