研究課題
基盤研究(A)
本研究は、樹冠空間および土壌圏を含む森林全体としての一東南アジア熱帯雨林が、二酸化炭素(CO_2)、水蒸気(H_2O)、メタン(CH_4)、亜酸化窒素(N_2O)、生物起源揮発性有機化合物(BVOC)などの温室効果ガスおよび大気化学に影響力をもつガス態物質のシンク/ソースとしてどのように機能しているのかを、ガス交換の地上観測に基づいて評価することを目的としている。研究体制として2つの基盤と12の研究テーマを設定している。本研究では「樹冠上フラックス(生態系全体)」「葉群」「土壌圏」の3つの領域を設定し、各物質の交換過程についてそれぞれの領域における挙動をみていく。これらの情報をベースとして、3つの領域それぞれにおいて複数のガス態物質の交換過程の相互連動について解析する。このことによりガス交換を支配する生物物理および生物地球化学プロセス、すなわち、ガス交換からみた東南アジア熱帯雨林生態系の在り様と機能を明らかにしていく。また同時に、三つの領域をつなぐ統合的な視点でも各ガス態物質の放出/吸収速度および収支の把握を試みる。特に熱・水・CO2については、統合解析に多層モデルを用いることで、葉群や土壌圏過程がどのように積みあがって樹冠上フラックスを決定するかについて詳細に考察する。本研究ではまた、ガス交換を支配する生態系の生物物理および生物地球化学プロセスに関する情報を内包する二つの生態系ガス交換指標、リモセン分光指標および同位体指標の開発にも取り組む。これらの指標は、上述のガス交換観測によって得られた情報と比較検証される。以下に2つの基盤と12の研究テーマを掲げる。基盤1:タワー観測システムの構築と維持基盤2:インフラ管理・現地カウンターパートとの連携テーマ1:樹冠上熱・水・CO_2フラックステーマ2:樹冠上CH_4・N_2Oフラックステーマ3:葉群からのCH_4およびBVOCフラックステーマ4:葉群からの熱・水・CO_2フラックス:個葉光合成・蒸散・呼吸過程テーマ5:土壌圏CH_4・N_2O・CO_2動態テーマ6:土壌圏炭素および窒素動態テーマ7:土壌圏水分動態テーマ8:個葉生理生態過程が樹冠上熱・水・CO_2交換に及ぼす影響評価テーマ9:吸水深度が樹冠上熱・水・CO_2交換に及ぼす影響評価テーマ10:個葉ガス交換を反映する炭素・酸素安定同位体指標の検証テーマ11:CH_4・CO_2の放出源(ソース)を反映する炭素安定同位体指標の検証テーマ12:樹冠上CO_2交換特性を反映するリモセン分光植生指標の検証
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