研究課題
本科研費基盤研究Aでは、アジアの国々で生活習慣病が激増している事実を確認して、その対策を示すことである。最終年度に当り、インドでの循環器疾患のリスクを精査するため、北インドでの疫学研究をバラナシで実施し、南インドでのリスクとの差を確認した。南インドと比べ、北インドでは、脂質異常症の頻度は多いが、糖尿病の発症については有意に低い事を確認した。南インドに於いては前年度の疫学調査の24時間尿分析で、食塩摂取量は高血圧者は1日15.6gと、正常血圧者の12.1gよりも有意に多く、更にマグネシウムの摂取が高血圧者は1日85.4mgと正常血圧者の113.0mgよりも有意に低く、精白した穀物の摂取が経済発展と伴い一般化したことが高血圧の激増する原因であることを明らかにした。南インド、北インド共に脂質異常症(インドの基準で血清コレステロール200mg、中性脂肪200mg、LDLコレステロール130mg以上でHDLは40mg/dl以下)は、頻度が高く、30代で南、北インドで53、69%もあった。そこで、インドの菜食主義の方でも食べれる大豆粉を1日70g、1カ月間、南インドの80人の方々に金時豆をプラセボとして食べていただく介入研究を実施し、24時間尿中イソフラボンの増加した大豆粉摂取群では、腹囲、中性脂肪、血糖値の指標であるヘモグロビンA1Cは有意に低下した。さらに、菜食主義者は、肉食をする方々に対して、コレステロールは低く、カリウム摂取は高いが、インスリン抵抗性を示すHOMA-IRは高い事を証明、菜食主義で糖尿病の多い原因が、蛋白質摂取不足による筋肉発育が充分でない為、インスリンが働きにくくなる事によるのではないかと推測した。本研究は菜食主義者に糖尿病が激増している原因を初めて明らかにした研究であり、今後、スリランカ・インドネシアの菜食主義集団の糖尿病予防の為にも貢献すると期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Thromb Res
巻: 131 ページ: 158-161
10.1016/j.thromres.2012.09.021.
ポリフェノール学会誌
巻: 2 ページ: -
Pan Afr Med J
巻: vol. 11 ページ: -