研究分担者 |
有薗 幸司 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70128148)
関山 牧子 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 特任助教 (90396896)
中崎 美峰子 富山県衛生研究所, 環境保健部, 副主幹研究員 (40416087)
吉永 淳 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (70222396)
清水 華 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80401032)
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研究概要 |
1.平成23年10-11月に西ジャワ州における調査を,パジャジャラン大学生態学研究所の協力を得て実施した。対象はチタルム川上中流域の2集落(近郊農業農村および水産養殖業村)であり,30世帯,141名を対象とした.調査項目は,食事摂取頻度調査(FFQ)に直接秤量法による摂取量調査,GPSによる身体活動調査,身体計測とした.FFQについては,エネルギー摂取の評価が可能になるように若干の修正を行なったものを使用した.得られたレシピとポーションサイズのデータを整理し,FFQからエネルギー摂取栄養摂取を推定するための分析を行なっている. なお,昨年度調査分を含む,過去の食事・栄養状態・化学物質曝露調査の結果について,住民を対象とした説明会を実施した.日本側研究者(関山)が現地語で説明し,住民側からも多くの質問が出て,関心の高さが示された. 2.昨年度・今年度の現地調査で集めた尿サンプルについてフタル酸エステル類代謝物の測定を実施したところ,これら2つの集落住民の尿から代謝物が検出された.代謝物の濃度は概ね日本人集団での報告値と同程度であったが,各代謝物の濃度から判断して日本人とは異なる曝露パターンであることが示唆された.また,フタル酸エステルの代謝能の指標とされる%MEHPを計算したところ,対象集団は日本人より代謝能力が高いことが示唆された.対象地域においては建材にプラスティックが用いられることは希であり,フタル酸エステル類の曝露は,食物および各種消費者製品を通じて起こっているものと考えられた. 3.尿中のアルキルリン酸系代謝物について,これまで測定対象としていなかったジチオリン酸系化合物について分析条件を検討し,定量可能とした. 4.前年度確立したQuEChERS法を用いる生体試料分析を用いて,尿試料中の化学物質の網羅的検索を継続して行った。その結果、新たにBADGE等プラスチック容器や缶詰等で使用される化学物質,bisphenol Aの代替物質であるbispheno Fなどの化合物を多くの尿試料で検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査の実施と,食生活・栄養状態評価については,概ね予定に沿って進行し,加えて直接秤量法も実施できたことによって,西ジャワ地域における食生活の定量的な解析が可能になった.生体試料を用いた化学物質の評価としてはフタル酸代謝物を測定し,この地域においておそらく初めて,曝露の事実を明らかにできたなどの成果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた情報を,食生活・栄養状態,化学物質曝露の点から経時的な整理を行ない,変化速度について考察する.慢性疾患・人口については,得られた保健統計から疾患の発生の変化速度についての整理を行なう.
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