研究概要 |
「ソロモン諸島における有用植物、特に薬用植物資源の探査と天然物化学的研究」で、漢方薬素材の代替または補完医薬素材になり得ると考えられる生薬の探索研究を展開した。 ソロモン諸島は、豊富な熱帯雨林に恵まれ未開の地と云え、生物は種類が豊富であり、ソロモン固有種が多く生育しており4,500種を超える高等植物が確認されている。従って薬用植物の分布も多く、未研究種が大半である事から、主に新薬創出・代替生薬の発掘のため、カギカズラ属Uncaria(生薬「釣藤鈎」として利用)、ゴシュユ属Tetradium(Euodia)(生薬「呉茱萸」類縁品として利用)など、現行漢方薬原料代替植物としての可能性ある種類を中心に探索収集した。 第1次調査(期間:平成22年7月14日~平成22年8月1日)では、薬用植物資源の探索調査を円滑に遂行するために,現地ソロモン森林省(以下,FDと云う)職員らと,マライタ島,ガダルカナル島での植物インベントリー調査を実施し,植物採集と標本の作製と調整を行なった。さらに後半1週間は,サンタイサベル島の伝統医の村を訪問し,森林地帯(二次林&原生林)での伝統医(以下、カスタムドクターと云う)が使用する薬用植物の自生状況の把握と賦存量を把握するために調査を行なった。 第2次調査(期間:平成22年8月10日~平成22年8月31日)の調査では、引続きFDとの学術研究協力により、独立行政法人医薬基盤研究所・種子島研究部の杉村康司研究員と,特に本調査では現地のカスタムドクターにより利用されている薬用植物を中心にサンタクルーズ島,マライタ島,サボ島,フロリダ諸島を訪問し,蒐集した植物研究材料とそのさく葉標本を本研究室に持ち帰り,現地FDに1スペア標本を保管した。研究分担者の小山によりさく葉標本の同定が進み学名が徐々に解明され,現在までに50科104属382種を同定し,ソロモン諸島フロラの一部を明らかにした.本年度の採集植物数の総計は,328点である(Collection No. : SIMB1325-SIMB1652).
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