本研究では、量子情報処理を組合せ論の観点から調べることにより、量子情報処理の設計問題を解析し、量子情報空間の離散幾何理論の構築を行った。まず、量子状態が点として表され、状態間の近接関係が量子ダイバージェンスによって表される量子情報幾何での計算幾何については、双曲幾何との対応を調べ、それによる近接関係をVoronoi図を通して調べることを行った。また、その応用として、古典情報処理でのセンサーネットワークの研究にも関連づけることができた。また本年度の研究では、多証明者の場合の量子相関ゲームの解析も行い、従来未解決であったランク1測定とランクが2以上の測定によって量子相関ゲームで能力差が出ることを新たに示し、これについては来年度以降に成果発表を行う準備を順調に進めている。量子情報がナノテクノロジー技術と関連する点に着目し、原子の表面結晶構造に現れるグラフや測定ベース量子計算方式で現れる正方格子等のグラフについて、それらの構造を解析するとともに、その解析結果の性質を用いた原子操作の設計問題や量子計算がユニバーサルになるクラスのグラフ問題を明らかにした。総体として量子情報における離散幾何・組合せ解析を実現した。
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