研究概要 |
本年度は,(1)ストリーム暗号の安全性解析,(2)ハッシュ関数の安全性解析,(3)認証技術に関する研究を実施した. (1)については,無線LANのWEPやWPA等で広く利用されているストリーム暗号RC4の擬似乱数生成アルゴリズムの安全性解析を行った.本研究では,最近RC4の初期内部状態について2バイトのみ異なる初期内部状態を生成する秘密鍵の組の存在することが示されたことに着目し,2バイトのみ異なる内部状態から生成される鍵系列を観測することにより,初期内部状態を推測する手法を考案し,その有効性を計算機実験により確認した. (2)については,ブロック暗号を利用して構成されるハッシュ関数の衝突計算困難性を,理想暗号モデルを仮定して解析した.さらに,理想暗号モデルよりもさらに弱いモデルを仮定した解析を行い,そのモデルにおいて衝突計算困難性を有するハッシュ関数の構成法を明らかにした.また,原像計算困難性,第二原像計算困難性,ユニバーサルー方向性と呼ばれるハッシュ関数の安全性に関する性質について検討し,それぞれの性質を有するハッシュ関数を利用してその他の性質を有するハッシュ関数を効率良く構成する方法を提案した. (3)については,多数の実体がネットワークを構成するような状況における効率のよい認証技術について検討を行った.そのために,特に,センサーネットワークやRFIDにおける認証技術について研究開発を行った.より具体的には,センサーネットワークの認証方式として,EschenauerとGligorの鍵共有プロトコルにおける問題点を解決するために,多項式を利用した柔軟な鍵共有方式を提案し,評価を行った.また,RFIDについては,多数のRFIDの認証子をまとめて通信を行うような,通信効率のよい認証方式について研究開発を行った.
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