研究概要 |
本年度は,(1)ストリーム暗号のアプリケーション適用時の安全性解析,(2)データ構造の認証・秘匿機能に関する研究を実施した. (1)に関しては,ストリーム暗号RC4について,衝突鍵を生成するアルゴリズムを暗号解読に適用する方法を構築し,この方法を用いて実際にRC4が解読できることを具体的に示した.本研究成果により,衝突鍵を生じるストリーム暗号の特徴と,さらにその脅威が明らかになり,ストリーム暗号設計時の脆弱性解析に大きな成果をもたらした. (2)に関しては,以下の成果を得た. (1)分散ハッシュ表の有名な実現の一つであるChord上でのハッシュ木の実現を目的として,Chanらが考案した固定トポロジにおけるブロードキャスト認証法を利用して大量の情報の完全性を保証する方法を開発した. (2)前年度までに開発した範囲質問を処理できるP2Pシステムを仮定した認証付データ構造について,データのハッシュ値の計算に鍵付ハッシュ関数を利用することにより,質問範囲外の情報を利用者に漏らすことのない秘匿機能を付加した. (3)木構造データに対する編集可能署名について,木の各節点の出次数があらかじめ定められた定数以下であるという仮定の下で,通常の署名法と鍵付ハッシュ関数を利用したMerkle木に基づく方式を構成した.さらに,本方式の安全性を利用される署名法と鍵付ハッシュ関数の安全性に帰着した. (4)ハッシュ関数のみを用いた認証法としてone time signatureの効率的な構成法を提案した.
|