研究概要 |
昨年度はプライバシーを保護しつつ,データマイニングを実行するための暗号プロトコルの構成に重点を置いて研究を行った.本年度の研究ではプライバシーデータマイニングの効率化に寄与しうる要素技術としてプライバシー保護技術に重点を置き、以下の成果が得られた。 (1) DNSへのアドレス問い合わせ処理をプライバシーを保護した形で行う暗号プロトコルに関してサーベイを行った.また既存のPrivate Information Retrieval (PIR)の性能解析や本研究チームが提案した方式の実装例による実現性可能性を検討した.この研究によりプライバシーデータマイニングによって蓄積されてきた暗号技術は現実のインターネットプロトコルに組み込み可能であることが確認できた (2) プライバシーデータマイニングの要素技術として重要であるプライバシーを保護した上で任意の関数を計算する秘匿計算と呼ばれる技術がある.準同型暗号を用いた方式に対して効率を大きく下げることなくより強力な攻撃者を想定した暗号プロトコルの構成を行った (3) プライバシー保護のための新しい公開鍵暗号として注目されている多変数暗号の安全性検証として故障利用攻撃について検討し,新たな攻撃手法の実現可能性を検討した (4) 従来の暗号方式をそのまま利用しながらも鍵長を長くするための組み合わせ暗号手法を提案し,その安全性を検討した.既に作成された暗号ハードウェアを再利用しつつ,プライバシー保護を安価に実現できる可能性を示した (5) プログラム中のプライバシー情報を保護するための仕組みとしてプログラム変換代行サービスとルールレポジトリからなるサービス形態の提案を行った
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