研究概要 |
本研究では、ネットワーク上で提供されるWebサービスを統合することで構成されるソフトウェアシステムをWebサービスウェアとして定義し、高信頼で効率的な開発技法を確立したフレームワークの提案を目標としている.本年度の成果は主に以下の3つである. 1) コレオグラフィに基づく高信頼通信指向プログラミング手法 本プログラミング手法の主なターゲットとなる実時間システムへの適用において、優先度を含む振舞の拡張と、セッション型に基づく型推論体系が重要であることが、これまでの研究の知見からわかった。このため、本年度は、基本体系であるπ計算へ優先度を導入した新たな体系と、Haskellによる型推論機構の実現について研究を進めた。 2) JavaScriptの収集・蓄積・解析基盤の構築と,コーディングパターン発見手法 Webサービスを利用するアプリケーションのクライアントサイドでの代表的な実装言語であるJavaScriptは,その実行環境の多様性から環境に適用させるための実装を必要とする.本年度は,関連するデータマイニング技術のより詳細な調査を行い,その得失を明らかにした.さらに,昨年度開発したJavaScript言語の蓄積・解析基盤を利用し,Web上から収集したJavaSchptを解析する手法の改良を行った.解析対象をメソッド呼び出しの集合から,代入文およびメソッド呼び出しの系列へ拡張し,適用するデータマイニング手法を改良することでより多種の再利用コードの取得に成功した. 3) Java言語を対象としたプログラム理解のための可視化手法の開発 Webサービスを実現するサーバサイドでの代表的な実装言語であるJava言語を対象として,開発者が複雑なプログラムの動作を理解することを支援することを目的として,プログラムの効果的な可視化手法を開発した.ソースコードを読み進める際の理解支援手法として,複数の抽象度を同時に可視化することで,大域的な関係を考慮しながらソースコードを辿ることを可能にするソフトウェアマップ手法を開発した.また,実際の実行結果を効果的に可視化するために,メタパターンの観点で抽象化することで振る舞い理解の観点では不要となる実行トレース情報を削減する手法を開発した.
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