研究概要 |
本研究では、ネットワーク上で提供されるWebサービスを統合することで構成されるソフトウェアシステムをWebサービスウェアとして定義し、高信頼で効率的な開発技法を確立したフレームワークの提案を目標としている.本年度の成果は主に以下の2つである. 1)コレオグラフィに基づく高信頼通信指向プログラミング手法 本プログラミング手法の主なターゲットとなる実時間システムへの適用において、優先度を含む振舞の拡張と、セッション型に基づく型推論体系が重要であることが、これまでの研究の知見からわかった。このため、本年度は、基本体系であるπ計算へ優先度を導入した新たな体系と、Haskellによる型推論機構の実現について研究を進めた。 2)コーディングパターン発見手法 Webサービスを利用するアプリケーションのクライアントサイドでの代表的な実装言語であるJavaScriptは,その実行環境の多様性から環境に適用させるための実装を必要とする.本年度は,昨年度開発したJavaScript言語の蓄積・解析基盤を利用し,制御構造を含むコードテンプレートの発見手法を開発した.自然言語による検索の際に同義語を検索語に加えることで,目的とする処理により近いコードテンプレートを発見する支援手法を提案した.さらに,Webサービスを実現するサーバサイドでの代表的な実装言語であるJava言語を対象としても,コードテンプレートを発見する手法を提案した.Java言語では,処理が短いメソッドに分割されるため,テンプレートが機械的に発見できない問題がある.この問題に対応するよう,静的解析時のコールグラフ探索戦略を検討しインライン展開により多くの候補を提示する手法を提案した.
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