●トップダウンアプローチ(主担当・中島) これまでに作成した粒子シミュレーション用の技法ライブラリとその構築技術をベースとして、ライブラリ利用を利用したアプリケーションを自動的に生成する方式を検討し、シミュレーションプログラム中の空間ループのループボディだけを関数・手続の形で記述したものから、効率的なプログラムが生成可能であることを確認した。またボトムアップアプローチとの連携により、キャッシュメモリを有効に活用するためのループ変換や、プロセス間通信の際の多次元配列と通信バッファとの間のデータ移動を効率化するループ生成など、他の技法の適用も効果的に実現できることを明らかにした。 ●ボトムアップアプローチ(主担当・岩下) これまでに開発したICCG法を用いたソルバーライブラリに加えて、マルチグリッド法に基づく反復解法ライブラリを構築し、スレッド並列およびプロセス並列環境における有効性を確認した。またトップダウンアプローチとの連携により、FDTD法を対象に時間・空間に関する多重ループに対してタイリング操作を施し、空間配列中の部分配列を時間方向に連続的に更新することで、配列要素の参照局所性を向上させることでキャッシュメモリを効果的に利用した最適化実装が得られることを明らかにした。さらに、階層行列(H-Matrix)を用いた密行列・ベクトル積演算の並列化実装方法についても研究し、階層行列構築後の反復演算についてメモリ容量と演算量の双方について良好な性能が得られることを確認した。
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