研究課題
平成20年度は、本研究プログラムの初年度であり、音響ゴーストの推定・除去手法の初期開発、サブスレッシュホールド領域で動作可能とする回路ライブラリの実現とそれによる認識モジュールの基本設計を行った。音響ゴーストキャンセラ手法の設計・ソフトウエア開発では、音響ゴースト処理に関する従来手法の調査を行った。これらは各周波数での位相回転と振幅減衰により近似表現される。雑音音声の雑音成分を抑制すると、主にゴースト成分が残った音声信号となる。ゴースト成分は、数秒にわたる長期観測区間での時間伝達関数と考えられるので、数秒間にわたる長期観測時問上での伝達関数推定を行う手法の設計を行った。極低消費電力型実時間音声認識システムの実現に関しては、観測環境(雑音SN比、エコー環境)により、データ形式を動的に変化させ、その結果、全体の演算量を削減する新技術によって、従来の最新システムより平均で1/3程度の電力削減を行うハードウエアのRTL設計を行った。さらに、より低消費電力化を実現するために、サブスレッシュホールド動作とその領域で安定動作を確実にするダイナミックアーキテクチャの新技術の検討を行った。サブスレッシュホールド領域で動作するトランジスタ回路の特性調査を行い、サブスレッシュホールド領域シミュレータ用のモデル化を行った。その回路ライブラリを利用して、認識システムの一部(フーリエ変換部分)を設計し、そのシミュレーション実験によりこ性能の評価を行い、従来のシステムに比べて、1/10程度の消費電力削減が可能であることが分かった。より消費エネルギーを削減するアーキテクチャについては、今後の課題。
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