研究課題
本研究は、広域性と同報性に優れた静止衛星ネットワークと、低遅延で移動端末との接続性に優れた低軌道衛星ネットワークを協調させた次世代マルチレイヤ衛星ネットワークを対象とし、衛星インターネット通信の基盤技術の確立を目的とするものである。今年度は、ルーティング技術に関する研究を主として行った。次世代マルチレイヤ衛星ネットワークでは、端末から発せられたパケットが複数の衛星を経由して転送される。この場合、コネクション毎あるいはパケット毎に転送経路をどのように選択するかがネットワーク全体のパフォーマンスを大きく左右する。ネットワーク全体の通信効率を高めるためには特定の衛星にパケットが集中することを防ぐことが重要であり、そのためにはレイヤ内、及びレイヤ間で負荷を分散する必要がある。負荷分散を実行する際には、そのタイミングが重要になる。実際に負荷の集中が発生してから分散処理を開始していたのでは、通信に悪影響が出ることは避けられない。そこで本研究では、衛星の軌道は不変であることや、地球上の地理的な人口分布から負荷の集中が発生しやすい地域が概ね特定できることなどを利用し、負荷集中の発生を予め予期して必要分散処理を開始するアルゴリズムを考案した。ネットワークシミュレータによる検証の結果、負荷集中によって引き起こされるパケットの損失やパケットの再送処理の低減、スループットの上昇といった通信性能の改善が確認され、ネットワーク全体の通信効率の改善も可能であることが明らかになった。
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IEICE Transactions on Communications
巻: Vol.E92-B, No.11 ページ: 3326-3334
Proceeding of IEEE International Conference on Communications 2009
ページ: 1-5
http://www.it.ecei.tohoku.ac.jp/