ピアツーピアネットワーク(以下P2P)の実用化と技術的貢献に向けて必要となる高信頼性を、ノードやリンク各々の信頼性を高めるという従来からのアプローチではなく、自律分散的な相互診断と再構築と多重化によってネットワーク全体として確保することを目指し、過去の研究成果も踏まえて、本年度は以下のような成果をあげた。(1)P2Pネットワークの高度化に向け、障害時に自動的な迂回路発見によってネットワークを再構築する方式を設計し、シミュレーション実験で信頼性も含めて検証した。成果は学術誌論文5編、国際会議論文2編などで公表した。(2)ネットワークも含む分散システム一般について、抽象モデルに基づく設計方式の研究を進めた。(3)全体的なシステム統合を行って個別要素技術をまとめ上げた。その上で、実際的応用事例として緊急地震速報ネットワークを取り上げ、民間企業との産学連携研究を進めた。そして、効率的な実現法を考案してシステム設計を完成させた。この成果については、実システム構築と論文発表準備を現在進めている。(4)基盤研究3年間の総括を行い、成果の取りまとめ、残された課題の洗い出しと整理などを行った。以上のように、高い成果を挙げることができた。
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