常に最適な経路での通信が可能であることから映像伝送など広帯域通信に適している移動透過通信アーキテクチャMATの使用を想定し、提案する移動透過アプリケーションレイヤマルチキャスト(ALM)アルゴリズムの具体的な実装設計を行った。ALM構成の一部として、研究代表者らが既に提案し、プロトタイプを試作しているアプリケーションゲートウェイを利用している。アプリケーションゲートウェイは、高品質動画像伝送アプリケーションを対象とし、ユニキャストやマルチキャストを自由に選択して、配送ネットワークを構成する機能を持っている。あらかじめ指定された静的なものとなっている配送ネットワークを、本研究で提案する移動透過ALMの構築アルゴリズムを適用し、配送木の再構築手法について詳細な検討を行った。具体的な実装設計を行うことと並行して、提案する移動透過ALMアルゴリズムを見直し、改良するとともに、機器やネットワークの移動(接続先ネットワークの変更)に対する配送ネットワーク再構築にかかるコスト(時間、メッセージ数など)を、既存のALM方式との比較により再度評価した。また、性能評価実験の準備として、現在広く利用可能な通信方式であるIPv4においても利用できるようにMATプロトコルを拡張した。拡張したプロトコルをLinux OS上に実装し、詳細な動作検証を行った。さらに、高品質動画像伝送などによる評価実験に必要な環境の構築整備等を行った。
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