平成22年度は以下の検討を行った。 (1)新規アルゴリズムの提案と改善:a.RTT公平性を実現するハイブリッドTCP輻輳制御方式として、前年度成果に基づく2件の国際学会発表を行うと共に、ルータのバッファサイズ推定とACK到着間隔の計測に基づく2件の新規提案を行ない、シミュレーション評価として有効性を確認した。b.実環境における動画像配信実験として、最近注目を集めているHTTPライブストリーミングを取り上げ、そのトランスポート層プロトコルとしての提案方式と既存方式の比較を行い、実装評価として、提案方式の有効性を明らかにした。c.提案方式を用いた上位層プロトコルとして、P2Pストリーミングに関する成果発表を行った。 (2)無線環境への拡張:a.無線LAN環境において、アクセスポイントがフロー毎のTCP輻輳制御アルゴリズムを識別・差別化することで、複数フローのスループット不公平性を解決する方式について検討を行った。具体的なTCP輻輳制御アルゴリズムの識別手法としてタイムスタンプオプションを使う方式とパケット送信間隔を使う方式を検討し、シミュレーション評価として、それぞれの有効性を確認した。b.ハイブリッドTCPを基礎とするハイブリッドTFRC輻輳制御についても検討を進め、成果の国際学会発表を行うと共に、動画像ストリーミングの実装評価実験を行ない、提案方式の有効性を示した。c.無線マルチホップ接続に適したTCP輻輳制御方式の検討を継続し、パケットサイズの動的な制御を組み入れることで、シミュレーション評価として、提案方式の特性改善を実現した。また、この方式は海中センサーネットワークへの応用も想定しているが、海上における実機評価実験を含め、海中センサーネットワークに関わる各種の基礎的な検討を進めた。
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