研究概要 |
(a)Tonal Pitch Spaceを用いた和声進行解析--GTTMの未実装部分としてタイムスパン木のcadential retentionの処理が課題であった.このため楽曲の和声解析をめざしていたが,和声の同定をする理論的枠組みとしてTPSを採用し,予め拍毎に輪切りされた音列から妥当な調・和声名を推論するシステムを構築した.これによりカデンツ解析が理論上可能になった. (b)GTTMを用いたモーフィング--GTTMの応用システムとして二つのメロディのタイムスパン木から,その中間的な木を構成することにより,メロディモーフィングのシステムを開発した.これはメロディ内挿に基づく作曲支援システムと位置づけられる.同システムはiPhone上で振る速度に応じてモーフィングの位置(オリジナルのメロディとの距離)を変更するシステムとして実現され,学会にてデモンストレーションを行った. (c)GTTMを用いたメロディ予測--GTTMの応用システムとして,タイムスパン木の安定性という観点からメロディの内挿・外挿を行うシステムを開発した.特にここでは外挿システムとして,途中までの木構造からその安定性を満たすような音を予測するシステムを実装した. (d)σGTTM--GTTMを自動化するにあたってはタイムスパン木の選好規則の選択に関して適切な重みづけをすることが重要である.σGTTMは決定木を用いたグループ境界の推測システムである.これによりグループ分けに関する諸規則に対してパラメータを適切に重みづけできるようになり,グループ分けの妥当性を向上させることができた. 以上いずれの成果も国際学会ICMC2009およびISMIR2009で論文発表・システム公開され,また国内でも情報処理学会音楽情報処理研究会にて発表された.
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