本研究では、大規模で多様性に富んだ放送映像アーカイブに同一映像断片照合を適用し、これを意味関連グラフととらえて解析することにより、従来の画像解析・画像理解に頼らない、新たな映像意味解析・映像アーカイブ構造化技術の実現を目指す。より具体的には、 (1) 大規模放送映像アーカイブに適用可能な同一映像断片照合の実現、 (2) 同一映像断片照合により抽出された関連性の分類と利用可能な意味的関連性の抽出、 (3) 抽出された関連性によるグラフ構造表現ならびにその解析法、 そしてこれらを通して、 (4) 同一映像断片照合による放送映像アーカイブの意味解析の可能性を示す。 平成20年度は、異なるカメラから撮影された同一シーンの映像の検出方法について重点的に検討を行った。また、数年分のニュース映像アーカイブについて同一映像断片照合を適用し、トピック間の関連性を解析する実験を行っている。また、映像中の同一人物を検出することにより、意味的な関連を表す一種の映像断片照合と見なしうることから、Web上の大量の顔画像を集め、著名人の顔検出器を自動学習する手法を実現した。この成果を映像アーカイブに適用する実験を開始している。
|