研究概要 |
平成21年度では,創造的問題解決プロセス(発散的思考/収束的思考/アイデア結晶化/評価・検証)におけるアイデア結晶化/評価・検証のサブプロセスを対象とし,計算機支援とその環境の差異についての影響調査に焦点をあて,以下の活動を行った. (1)アイデア結晶化および評価・検証を計算機上で支援するシステムと,デジタルペンによる紙への手書きに基づく操作によって同様の機能を実現するテーブルトップシステムを整備した.グループによるアイデアの操作履歴を逐一記録し,後日参照することで,結晶化および評価のプロセスを追跡し,差異について検討することを可能にした.またアイデアラベルに書かれた手書き文字(日本語の文章)を自動的にテキストに変換し,検索による参照や再利用を容易にするための仕組みを組み込んだ.上記のシステムを石川県白山里で8月23日~29日に開催したミニ移動大学合宿のグループKJ法研修において運用し,創造的問題解決プロセスに造詣の深い三村修氏,永延幹男氏、丸山晋氏らの助言・指導を得た.本システムでの実践,および有効性に関しては,2009年7月に開催されたHCI International 2009で発表を行った.またその内容の一部をそれぞれ2010年1月に開催されたICICTES2010の招待講演者として研究発表した. (2)「あいづち」機能を用いた分散ブレインストーミング支援システムを開発し,分散環境におけるアイデア生成への影響を検証した.その結果,分散ブレインストーミングでは綿密性の因子を持つあいづちが打たれるほど,アイデアの数,特に実現可能性の高いアイデアが増加することが分かった. (3)電子ブックの操作性を高めるために紙媒体の本のように手を使ってページ捲りできるインタフェースを開発し,その評価を行った.その結果,手を使ったページ捲り操作は既存のボタン操作よりも,異なるページ間の情報の参照・理解を促すのに有効であることが分かった.
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