研究概要 |
本研究は,知識発見の原理の究明と実働化を目指して,特にデータ圧縮技術との関連に着目しながら,理論と応用の両面から研究を展開することを目的としている.データ圧縮に関しては,データに内在する繰り返し構造をうまく抽出することが重要であるが,文字列の繰り返し構造を抽象化した概念である連について,文字列に包含されうる連の平均数を解析し,それを厳密に表す閉じた数式を導出した.また,探索的な手法とビット演算を駆使した効率のよい実装により,連を多く含む文字列を計算機実験によって発見する手法を示した.さらに,連に関する情報から元の文字列を推測する逆問題の困難さを示した.形式言語理論において,基本形式体系(EFS)に非終端記号を導入することによる記述力の変化や既存の形式言語理論との対応関係について調べた. 一方,マルチエージェントシステムにおける通信規約学習に関して,学習に必要なメッセージのサイズに関する理論的な証明と計算機実験を行った.さらに,計算論的な枠組みにおける教示の理論に,例数の制限を導入したときに生じる性質として,矛盾を含む説明が最適教示法になる場合があることや,例数を制限したときには通常とは異なる教示戦略が必要となることなどを示す定理を証明した.また完全情報ゲームである一般化3並べの変種として,目標とする型の複数のORをとるゲームを提案し,さまざまな条件下における必勝法の有無などに関する網羅的な解析を行った.
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