研究概要 |
本研究は,知識発見の原理の究明と実働化を目指して,特にデータ圧縮技術との関連に着目しながら,理論と応用の両面から研究を展開することを目的としている.データ圧縮に関しては,データに内在する繰り返し構造をうまく抽出することが重要であるが,文字列の繰り返し構造を抽象化した概念である連について,文字列に包含されうる連の平均数や最大数に関心が集まっている.本年度は,環状に両端の繋がった構造を持つ文字列における連の平均数を厳密に表す閉じた数式を導出することに成功した.またこれまでは主として文字種が2の場合について,連の個数の解析がなされてきたが,我々は文字種が3以上になったときにそれがどう影響を受けるかについての考察も行った.一方,データ圧縮は,データ間の類似性を測る尺度としても利用されており,種々の可逆圧縮アルゴリズムによる実験結果も示されている.我々はこれを画像の類似性指標として用いた場合の効果と問題点を検証し,既存の理論を,画像や音声データで主に用いられる非可逆圧縮にも適用できるように拡張した.また完全情報ゲームである一般化3並べのさらなる変種として,目標とする型と共に,禁止型を新たな条件として加えたゲームを提案し,目標型と禁止型のさまざまな組み合わせに対する必勝法の有無に関する網羅的な解析と計算機による実証を行った.さらに,代表的な探索アルゴリズムであるA^*を状況の変化に効率よく追随させる拡張として知られている適応A^*について,目標が複数ある場合に対してこれを一般化し,その理論保証を与えると共に,計算機実験によってその効果を確認した.
|