研究課題
H21年度は確率知識のモデリング言語であるPRISMの適用範囲を広げる準備として、プログラムに課されている背反性条件を除くため、BDD(2分決定木)による確率計算および統計パラメータの学習のアルゴリズムの開発を行った。BDDはプール式をコンパクトに表現する有向グラフである。我々は確率的命題変数からなる任音のブール式を表すBDDに対し、隠れマルコフモデルの確率計算で使われる内側確率および外側確率の概念を適用することにより、ダイナミックプログラミングに基づいて効率的に確率計算を行う一般化内側・外側確率アルゴリズムを導出した。さらにこのアルゴリズムを使い、BDDから確率的命題変数に付随する確率を推定するBDD-EMアルゴリズムと呼ばれるEM学習アルゴリズムを導出した。BDDとEM学習アルゴリズムを結びつけた研究は今までになく、BDDが広く使われている現状からして、この学習アルゴリズムは広い応用が期待される。また、PRISMによる統計的アブダクション(仮説推論)に使われる論理式を確定節から一般の節に拡大するため、独立の確率的命題変数からなる一般の節を考え、そのような節の集合を条件部に持つ条件付き分布について、その性質を調べた。その結果、このような条件付き分布により任意の離散結合分布が表現できるとこと、およびPRISMプログラムにより表現される(無限の)分布もある条件のもとに表現できるとことが証明された。
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Journal of Intelligent Information Systems 31(2)
ページ: 161-176
Probabilistic Inductive Logic Programming, LNCS 4911, Springer
ページ: 118-155