最終年度である22年度は、高感度匂いセンサシステムについて、低濃度[pptレベル]での複合標準ガス発生装置を導入し、低濃度レベルでの連続計測特性を調べ、人嗅覚を凌駕する人工嗅覚へと発展させた。 申請者らは単独の匂い成分を1chでppt-レベルにて発生する技術、そしてppb-レベルでのガスを多chで発生させるガス発生装置を保持しており、高感度な匂いセンサの開発において、単成分の出力比較だけではなく、多様な匂い成分が混じりあった複合臭気でのセンサ特性(選択性)評価が極めて重要である。そこでppt-レベルでの「低濃度複合標準ガス発生装置」を導入した。導入した低濃度複合標準ガス発生装置では、ホルムアルデヒドガスを21.5pptの低濃度で発生させることに成功した。そこで、開発した高感度匂いセンサの特性評価(検出下限界、選択性、連続計測能)などを調べたところ、極めて高いガス選択性を持って、サブppbレベルでの感度を有し、連続的にガス濃度をモニタリング可能なセンサの開発に成功した。また開発したセンサの生体臭診断や食品臭計測、住環境計測を想定して、アルコール類やアルデヒド類の揮発性成分について生体内でそれぞれ代謝分解する代謝酵素を選択し、高感度センサをそれぞれ個に開発し、性能を評価した。 本申請課題では、体内の代謝・無臭化機能に基づき、代謝酵素群を匂い成分の認識素子として用い、高感度な光学計測システムと組み合せることで、高感度・高選択性かつ連続計測性能を有する新規な高感度匂いセンサを開発することに成功した。
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