研究分担者 |
党 建武 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (80334796)
鵜木 祐史 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (00343187)
李 軍鋒 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (50431466)
末光 厚夫 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (20422199)
北村 達也 甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (60293594)
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研究概要 |
本研究では,音声生成と音声知覚の密接な関係を示す一例として「聴覚フィードバック」を取り上げ,聴覚フィードバックの実験パラダイムの中で,脳磁計(MEG)およびfMRIを用いて「聴覚フィードバック時に脳のどの部位がどの順番で関与しているか」を明らかにすることを目指す.2年目は,知覚と生成の相互作用が生じた場合の脳活動部位を特定することを目標に,fMRIを使用して変形聴覚ィードバック呈示時の脳活動計測およびEMAを用いて復唱時の舌運動測定を行った.また,注意を向けた場合の知覚特性について,詳細な実験を行った.具体的成果は以下の通りである. 1.fMRIを使用した変形聴覚フィードバック呈示時の脳活動計測:1年目に構築したホルマント変形システムに音韻・音質の問題があったため,製作を依頼した業者と協力してその改良を行った.また,fMRI内での音声収録のために,音声強調手法TS-BASEの性能評価を行った.続いて,被験者6名に対して,構築したシステムを用いて,被験者が発話した音声/e/を/i/もしくは/a/に変形し,その音声が耳にフィードバックされている際の脳活動をfMRIにより計測した.現在,測定した結果を解析中である. 2.EMAを用いた復唱時の舌運動測定:本研究では,母語の母音カテゴリにない英語母音を目標音として復唱による学習過程に着目し,調音と音響の計測により,音声生成と知覚の関係を調べた.その結果,新しい母音カテゴリの形成は母語の母音カテゴリに依存することが分かった.また,調音運動の視覚情報の呈示は学習過程にある音声と調音の一対多の関係を抑えることができることも分かった. 3.音聴取時の聴覚フィルタ:音聴取時において,信号音に注意を向けた場合とそうでない場合の聴覚フィルタ形状を測定することにより,注意を向けた場合に聴覚フィルタが鋭くなる現象が観測された.これは聴覚末梢系も注意に関与している証拠となる.
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