研究概要 |
本研究の目的は、(1)人体構造そのものをメディア情報とみなした1000例以上の大規模仮想化人体データベースの構築(コンテンツデータベース),(2)個体差(バリエーション)を含めた解剖学的構造記述手法の実現(コンテンツ記述),(3)仮想化人体データベースを利用した多次元医用画像認識理解による内視鏡下手術のための診断治療プロセスの融合的支援(画像からのコンテンツ記述自動生成とその医学的応用)である。本年度は以下の検討を行った。(A)仮想化人体データベース仕様検討:本研究課題で開発する大規模仮想化人体データベースの仕様設計を行う。特に、「解剖学的構造データベース」「解剖学的構造バリエーションの記述」を核として、大規模仮想化人体データベースを検討した。(B)解剖学的構造記述法の検討:腹部領域における臓器・血管・リンパ節といった解剖学的構造とそのバリエーションを記述する手法を検討した。ここでは、グラフ表現、木構造などの数理的記述法と、血管が支配する臓器・領域などの生体機能的記述の両方を表現可能な解剖学的構造記述法を検討した。(C) 解剖学的構造自動抽出手法の検討と実現:入力される3次元CT/MRI像から各種臓器を精度よくセグメンテーションする手法を検討する。ここでは、レベルセット法などこれまでに画像処理分野で研究されてきた手法とともに、データベースに格納されている臓器位置情報などを参照するなど、大規模仮想化人体データベースを利用したセグメンテーション法を検討した。(D)仮想化人体データベースのための解剖学的構造入力システム実現:仮想化人体データベースは単なる多次元医用画像の集合ではなく、解剖学的構造を記述したデータも含まれる。そのために、分岐パターン、解剖学的名称などの解剖学的構造を効果的に入力可能なシステムを実現し、仮想化人体データベース構築に利用した。(E)仮想化人体データベースのための画像収集:名古屋大学付属病院にて撮影される内視鏡下手術支援用CT像を収集した。
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