(1)臓器個体差理解手法の実現各臓器情報を基に解剖学的構造の個体差を計算機が理解する手法を確立した。これまでに開発した臓器形状に応じて自動的に画像群をクラスタリングする手法において、臓器形状の違いをより多く反映する類似度指標やクラスタリング手法を導入した。その結果を入力画像のセグメンテーション処理に利用することで、より正確に個体差をある典型例に分類する一手段を実現した。ここで、画像のクラスタリングならびにセグメンテーションには別途開発された高速画像レジストレーション法を使用した。 (2)臓器構造理解結果を利用した情報提示機構の開発個人毎の解剖学的構造を可視化するとともに、内視鏡下手術に必要な診断治療を支援するために最も適した情報を患者毎に自動選択する手法を検討した。解剖学的構造の理解結果と仮想化人体データベースを利用して、アプローチ経路、切除範囲、リンパ位置等を術者に提示する手法を開発した。また、高速な可視化を実現するため、GPGPUとよばれる専用プロセッサを利用した高速描画法を検討した。 (3)臨床の場における試験運用開発したシステムの臨床の場における試験運用を実施し、システムの問題点を洗い出した。また、得られた知見によりシステムを改良した。 (4)仮想化人体データベースのための画像収集名古屋大学付属病院・愛知県立がんセンターにて撮影される内視鏡下手術支援用CT像/MRI像を268例収集した。また、収集画像に対して手動で解剖学的構造情報を付加した。これらの画像は、臓器個体差理解手法ならびに情報提示機構の開発に利用した。
|