研究概要 |
1.疎テンプレートコンデンセーション法の高性能化 (1)姿勢自由度の一部(2自由度)を効率的に拘束する方法として,特徴量計算方向積分特徴を考案し,4方向積分特徴を用いることでパーティクル数200において,処理時間1.2〜1.5ミリ秒/フレームの追跡系を実現できることを確かめた。これにより,2自由度を拘束する手法として従来提案していた直線エッジによる動き推定を用いた場合と比較して約3倍程度の高速化を達成できることを検証した。(この成果は,2008年12月のPRMU研究会において発表済みである。) (2)認識系との融合において位置決め精度向上を計るため,コンデンセーションにおいて用いる乱数の標準偏差を段階的に低減(実験では各段で半減)する方法(段階的粗密探索と呼ぶ)が有効であることを検証した。(この成果は,2008年12月および2009年2月のPRMU研究会において発表済みである。) 2.3次元物体の姿勢追跡 形状が既知である3次元物体の姿勢(回転・並進各3自由度)追跡法を検討した。今年度については,まず,照明変動の影響が少ない場合の対象追跡を疎テンプレートコンデンセーション法で取扱うことを想定し,3次元形状と画像サンプルから作成した3次元疎テンプレートを用いる方法を提案し,パーティクルを6次元姿勢空間で伝播させ,段階的粗密探索を用いて効率的な探索を用いる方法が有効であることを検証した。なお,半追跡や姿勢固有空間の利用も検討したが,形状既知物体の3次元姿勢追跡に関しては,6次元姿勢空間を直接用いた段階的粗密探索が優れることが判り,処理時間30ミリ秒/フレームでの追跡にも成功した。(この成果は,2008年12月のPRMU研究会において発表済みである。)今後,照明の取扱い,姿勢による追跡性能低下への対応策を検討する。 3.登録顔画像による人物識別 疎固有テンプレート追跡による顔追跡と部分空間法による顔識別の融合を目指した検討を行った。具体的には,登録者数10名,限定照明条件下での正面顔・斜め30度の登録画像を用いた融合系を試作し,探索時に段階的粗密探索を用いて,各フレームで10姿勢を競争的に用いることにより,追跡・認識融合系を実現できることを確認した。さらに,単純な部分空間法ではなく,並列部分射影によるロバストな顔識別法を用いること,および,適応型追跡に基づく固有顔の学習により表情変化に有効であることを確認した。(この成果は2009年2月のPRMU研究会において発表済みである。) 4.画像例示による動作認識 例示された動画像上で適応型追跡を行い,追跡結果から固有空間を自動作成する方法について顔画像を例とした検討を行い,前項の改良に有効であることを確かめた。(この成果は,2008年12月のPRMU研究会および2009年1月のPSIVTにおいて発表済みである。)今後,例示型動作認識系の構成を目指した検討を進めていく。 連携研究者:右田 剛史(岡山大学・自然科学研究科・助教):項目1と2においてアルゴリズムの高性能化に参画 山根 亮(岡山大学・自然科学研究科・助手):項目4において動作認識系の構成に参画
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